介護業界の問題点

illust293

わが国では長い間、介護は家族の問題とされてきました。しかし少子高齢化の波は留ま
ることなく押し寄せています。65歳以上の高齢者人口も2900万人を超え、いよいよ
「4人に1人がお年寄り」という時代を迎えようとしています。

それに伴い介護という現実も合わせて深刻さを増し、介護は社会全体で取り組む大きな課題になっています。医療業界で働く人たちにも、その波は無縁ではありません。

とくに医療知識があり、ホスピタリティマインドを持つ看護師は、介護業界にとっては喉から手が出るほどの欲しい人材です。

私は「身体が不自由な方のために力になりたい」「少しでもお年寄りの役に立ちたい」
と大きな志を持って医療業界から介護業界に転職していく方たちを大勢見てきました。

しかし、介護業界に見切りをつけて戻ってくる人も少なくありません。一体どうしてなんでしようか。介護業界が抱える課題とは、介護業界に何が必要なのか、介護業界で働くため何が必要なのか、考えてみたいと思います。

少子高齢化に伴い介護業界のニーズが高まり、介護業界の市場規模は年々右肩上がりを
続けています。新たな資格取得が前提になりますが、医療業界で培った技術などを役立て
ることができる分野でもあり転職先としては有力な分野でもあります。

とはいえ、介護業界は医療業界に比較すると歴史が浅く、その分だけ問題や課題が多い
のも事実です。医療業界と同じく、過酷な労働環境の側面もあり、良いことばかりでない
のも同様です。

では、まずは介護業界の現状を大まかに考察して、必要な資格も考えてみましよう。

精神保健福祉士

illust293

不景気、就職難、リストラなど社会的不安要因が増えていることから躁鬱病などの精神疾患に悩む人が増加しています。

精神保健福祉士は、その疾患上の問題を解決したり、社会復帰を図るための援助や相談、また退院後の住居や再就労の場の選択などについての助言、指導、日常生活への適応のための訓練などを行う専門職です。

病院などでは、入院から退院までの問題の解決を目指し、関係機関との連絡調整を図ったり、患者や家族との面接を行って環境の把握に努めたり、社会生活に適用できるよう支援します。なかでも外勤作業やデイケア、共同作業所における活動を援助することは重要な仕事です。

常時勤務の例は少ないですが、教育現場のメンタルヘルスに関する相談援助を行うスクールソーシャルワーカーや、職場でのストレスやうつ病対策、職場復帰のための支援などを行う企業内ソーシャルワーカーが活躍を始めています。

1997年(平成9年)に誕生したばかりの国家資格のため、有資格者数が少なく、将来有望な資格といえるでしょう。

また近年は精神医学の発達に伴って精神疾患の治療も進展し、社会復帰に必要な援助活動の重要性が叫ばれています。

介護保険制度の拡充によって有力なマンパワーとして将来性は充分あり、社会福祉上の資格と併せて受験する人が増えています。

理学療法士

illust293

理学療法士とは心身に障害を持つ人に対して身体の機能を回復・維持するために運動療法や物理療法を施す、リハビリテーションの専門家のことです。

手足の関節の動きを良くしたり、筋力を回復させたりする「運動療法」、温熱、電気光線などの物理的な刺激を用いて、痛みの軽減などの治療を行う「物理療法」、実際の動作が円滑に行えるよう、その動作を繰り返し練習する「日常生活活動訓練」などに加え、車椅子、杖などの使用に関する助言なども行います。

理学療法の対象となるのは、高齢者からプロスポーツ選手と幅広く、多方面での活躍が期待されています。

理学療法士になるには、国が指定する理学療法士の養成学校で3年以上必要な知識と技能を修得し、国家試験に合格し免許を取得する必要があります。十数年前まで養成校もほとんどありませんでしたが、規制緩和により平成12年以降、専門学校などの養成校が新設され、年々有資格者が輩出されており過剰傾向にあります。

2001年で3万人に満たなかった有資格者数が、現在までのわずか数年で約7万4千人となっていることでも、その一端が窺えます。

また養成学校の乱立化が理学療法上の質の低下を招いていると指摘する声もあります。ここ数年の理学療法士の平均月収は27万円、平均年収は390万円程度で、緩やかな減少傾向にあります。

これは需要と供給のバランスもありますが理学療法士の質の低下もそのひとつの要因と思われます。

医学療法上の就職先は医療施設がもっとも多く、次いで介護老人保健施設などの医療福祉中間施設、老人ホームや障害者施設などの福祉施設となります。

高齢化社会が進むことを考えれば、今後は福祉施設の需要が高くなるのは想像に難くありませんが、自らスキルアップを図ることが、就職・転職のカギになりそうです。